2008-12-19 かみつきハチ ③ 短編小説「かみつきハチ」 #ノンフィクション、エッセイ それから、若い男は何日も待った。 ダンボールでつくった犬小屋の前には、いつもパン屋でもらったパンの耳をおいた。 それでも、犬は帰ってこなかった。 ある晩、「わし」はハチ公の銅像の前で、若い男がなにやらブツブツひとり言を言っているのを耳にした。 そぉっと、銅像のうしろにかくれて、耳をすますと、若い男はハチ公にむかって、自分の半生を語りだした。